PEKOのひとり飲み

身辺雑記。心に移りゆくよしなしごとを飲みながら書いています。

『貧乏だけど贅沢』@旅の空のち紅白歌合戦

沢木耕太郎さんの旅を巡る対談集。

魅力的なタイトル。
井上陽水さん、阿川弘之さん他、計10人の面々とのわくわくするトークは、旅の空にぴったり。
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文庫化は昨年ですが、単行本初版は1999年、14年前のことです。
 
1985年のプラザ合意以降の急速な円高を背景に、1990年代は空前の海外旅行ブーム。
まさに、猫も杓子もわたくしも外国へ行ったものです。
その頃出会った沢木さんの代表作『深夜特急』。わくわくしながら読みました。
陸路で大陸横断の夢を見ながら。
 
今は廃刊になってしまった蔵前仁一さん発行の月刊誌『旅行人』を定期購読していたのもこの頃。
休暇を取っては旅行するのに夢中で、短期間ながら30カ国ぐらい行きました。
 
が、それも20年前の話。
 
かつて訪れたことがあるシリアや中国チベット自治区の惨状は目を覆うばかり。
当時はこんなになるなんて思ってもみなかった。
(そして昨今の日本の政局もー。)
 
一方、経済のグローバル化の進行によって、世界中を「市場」、「労働力」と見る以外の視点を失いつつある中、旅行も世知辛いものになってきています。
 
そんな時代背景の変化を感じながらも、貪るように読みました。
 
中でも興味を引かれたのは、「終わりなき旅の途上で」と題する今福龍太さんとの対談と、「だから旅はやめられない」と題する群ようこさんとのもの。
 
文化人類学者、今福龍太さんの『荒野のロマネスク』は読まなくちゃ。
人類学の調査の過程において繰り返される「語られる言葉の意味と、叙述される言葉の乖離についての思考」は、沢木さんのノンフィクションライターとしての取材とも似ていて、他者理解の可能性と限界という永遠のテーマに対するお二人の向き合い方は示唆に富んでいます。
 
エッセイスト、群ようこさんとの長い対談では、沢木さんの「ハワイにおける完璧な一日」というのが語られています。
部分的に引用します。
 
(沢木)「…コンドミニアムかアパートメントホテルを一ヶ月くらい借りる。そして、朝は八時頃起きて、レストランに行ってパンケーキを食べる(中略)で、食べ終わると部屋に戻って、水着を入れたビニールを持ってバスでハワイ大学に行きます。…(中略)ハワイ大学には図書館が二つか三つあって、そのうちの風の通り抜ける、気持ちのいい、昼寝のできる図書館に入ります。…椅子に座って、みんなと同じようにテーブルに足を掛けてパラパラとめくっていると眠くなる。で、すやすや寝ていると、すぐお昼になる(笑)…そこで学生食堂に行くわけです。」
 
(このあと沢木さんが語るのは、学食でお昼を食べて、図書館に戻り、アラモアナショッピングセンターへ行き、買い物を済ませて、ホテルに戻る前にアラモアナ公園のトイレで着替えて1、2時間泳ぎ、アパートに戻り、キッチンで調理を半分ぐらいしておいて、軽くジョギングし、部屋でシャワーを浴びて、ビールを飲みながらステーキを焼いたり、パスタを茹でたりして、テレビで何かスポーツ番組を見て、だいたい十時くらいになったところで近くのバーで一杯酒を飲んで、帰って寝る、という「もう夢のような一日」。)
 
 (群)「でも、それをやったら日本に帰れませんねえ。」
 
今はもうこういうのは無理かもしれませんが、憧れますね。
来年はウクレレ持って、ハワイで昼寝もいいかも。
ハワイ大学の図書館にもね。
 
今年最後のBlogを、旅から帰ってきて、紅白歌合戦見ながら書いています。
 
10月にふとしたことからスタートしたBlogですが、ゆるゆる更新しますので、来年もよろしくお願いします。
新年が穏やかな年でありますように。ちょっと前倒しで浦霞
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